アクティビティ / 2026年4月28日
ナズマドへ通って3年でわかった、ダイビングが「ふつう」になる瞬間
全国のダイバーが憧れる場所。でも、毎週潜っているとそれは、ただの近所の海になる。それが寂しくも、嬉しくもあるという話。
僕
ホテル運営者・編集長 / 2026年4月28日
八丈島の西側に、ナズマドというダイビングポイントがある。「日本のダイバーで知らない人はいない」と言ってもいい場所だ。潮の流れと地形と、運がよければ大物が出る、というシチュエーションで知られている。
僕は宿を始めた1年目に、ダイビングのライセンスを取った。お客さんと話を合わせるためでもあるし、純粋にきれいな海を見たかったのもある。それから3年、ほぼ毎週ナズマドに潜っている。
「特別」が「ふつう」になる
潜りはじめた頃は、毎回しっかり感動していた。「ハンマーヘッドが出るかも」「カメに会えるかも」と、ダイビングの前日は眠れなかった。
でも、毎週通っていると、これが「ふつう」になってくる。雨でも晴れでもとりあえず潜る、みたいな日が増える。「今日のナズマドどうだった?」と聞かれて、「うん、ふつう」と答える日が増える。
ある日、東京から来たベテランダイバーの方に「ナズマドが地元になるって、贅沢ですね」と言われた。たしかにそうだ。でも、その「贅沢」が、自分の中ではただの日常になっている。これ、ちょっと寂しい変化だと思っていた。
でも、その「ふつう」が、いちばん幸せかもしれない
最近思うのは、たぶんこの「ふつう」になることが、移住の本当のゴールだったのかもしれない、ということ。観光地が観光地でなくなって、ただの近所になる。レアな景色が、毎週見られる景色になる。それは「特別を失った」のではなくて、「特別の中に住んでいる」ということだと思う。
とはいえ、たまにハンマーヘッドの群れに出会うと、いまだに泣きそうになる。それが「ふつう」になる日は、たぶん来ないでほしい。
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