八丈島の歩き方
冬の八丈島は、たぶん天国に近い。船は揺れるけど

文化と季節2026年5月15日

冬の八丈島は、たぶん天国に近い。船は揺れるけど

冬は閑散期、と言われる。でも僕は、年に4回ある「天国の週」を、いつも冬に体験している。観光客が少ないからこそ味わえる、この島の真ん中の話。

僕

ホテル運営者・編集長 / 2026年5月15日

結論から書くと、八丈島は冬がいちばんいい。これは僕の主観だし、商売的にはむしろ夏に来てほしいので、こんなことを書くのはちょっと利益相反だ。でも本当のことなので、書く。

冬は閑散期だが、それは観光客にとっての話

島の人は冬を「やっと静かになった」と言う。9月までの観光シーズンが終わって、雨も少し落ち着いて、温泉が一年でいちばん気持ちいい季節が来る。

裏見ヶ滝温泉、ふれあいの湯、末吉の温泉。どれも夏は人がそこそこいるけれど、1月〜2月の平日は、本当に貸し切りになる。湯船に頭まで沈んで、空を見上げて、誰もいない。ここで僕はよく、宿の経営の悩みを忘れる。

「天国の週」は、年に4回くらい来る

もう一つ、冬の八丈島が特別なのは、年に4回くらい「天国の週」が来ることだ。これは僕が勝手に呼んでいる言葉で、台風前の不思議な凪に似た、風がほとんどなくて、空が抜けるように青くて、気温が15度前後でちょうどいい、というあの一週間のこと。

たいてい1月の終わりか、2月のはじめ、あとは3月の頭にも一度ある。冬の八丈島が、すべての言い訳を取り下げて、いちばん良い顔を見せてくる。

ただし船は揺れる

正直に書いておくと、冬の八丈島の船(東海汽船)はけっこう揺れる。冬型の気圧配置になると、東京湾を出てからしばらくはずっと揺れている。船酔いに弱い人は、飛行機(ANA)で来てください、と僕は毎回お客さんに言う。

それでも来てくれる人がいる。たぶん船で来た方が、八丈島に着いたときの感動が大きいと知っているのだと思う。揺れる船から降りた朝、霧雨の中で温泉に向かう。それが冬の八丈島の正しい入り方だと、僕は思っている。

Related Stories

ほかの記事も

一覧へ →