八丈島の歩き方
島で宿を始めて5年。ようやく『八丈ブルー』の意味がわかってきた

暮らし・移住2026年5月20日

島で宿を始めて5年。ようやく『八丈ブルー』の意味がわかってきた

観光協会のパンフレットに必ず載っている言葉。でも実際に、その色を見られる季節は限られている。5年経って、ようやく分かったことを書きます。

僕

ホテル運営者・編集長 / 2026年5月20日

八丈島の観光パンフレットには、必ず「八丈ブルー」という言葉が出てくる。深く透き通った、独特の青のことらしい。

移住して、宿を始めて、5年。最初の頃の僕は、この言葉に少しだけ違和感を持っていた。確かに海はきれいだ。でも、たとえば沖縄の海とくらべて「特別に青い」と言われると、ちょっと首をかしげたくなることがあった。

分かったのは、3年目の夏

あれは2024年の7月だったと思う。お盆の少し前、お客さんの一人を底土の港まで送って、ぼんやり海を見ていた。風が止んでいて、波がほぼなかった。そのとき、自分が立っている岩から3メートルくらい下まで、海中の岩肌がはっきり見えた。

そして、その水の色が、青というより、群青と藍の中間みたいな、深いのに澄んでいる、説明しづらい色をしていた。

「あ、これか」と、たぶん声に出して言った。横にいた島の人に「八丈ブルー、これですよね」と聞いたら、彼は当たり前のように「そうそう、これな」と答えた。

条件は意外と狭い

5年いて分かったのは、この色が見られる条件は意外と狭いということだ。風がほぼ無風、潮が満ち気味、晴れていて時間帯は10時から14時くらい、季節は6月の終わりから9月のあたま。これが揃わないと、海はただの「ちょっときれいな青」になる。

つまり、観光協会のパンフレットに載っている「八丈ブルー」は、嘘ではないけれど、毎日見られる景色ではない。年に20日くらいだと思う。だから僕は、夏の予約をしてくれたお客さんに、こっそり「無風の日は底土へ行ってください」と伝えている。

ちなみに、その20日に当たったお客さんは、ほぼ全員リピーターになる。これは5年やってきて分かった、いちばん信頼している数字だ。

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